わりと人生が詰んだひきこもりの備忘録

さとう学。20年ものひきこもりから抜け出したのに勤めた会社はブラックでした。パワハラで再びひきこもりに。社会を変えようと市議選に立候補。ひきこもり新聞、ひきポスに記事を寄稿。

外とようやくつながれた日~保健所から人が来た(第1回)~

自分のパソコンの中を整理していたら昔の日記が出てきた。小説風に書いてある。保健所とようやくつながり、その最初の訪問日を描いていた。

カウンセラーと書いてあるが実際は保健所の職員。当時はその区別もついていないようだ。

 

2003年2月6日 第一回カウンセリング日記

保健所からカウンセラーがやってきた。
しかも二人も、だ。

一人は年齢が四十前後の女性で、もう一人は三十代前半の男性である。

ちなみに男性のほうは姉と同じ大学であり、知り合いでもある。世間はせまい。

二人のカウンセラーは僕の向かい側にすわり、自己紹介をした。
僕はだまって頷いた。

「いつもここ(リビング)にいるの?」女のカウセンラーが僕にたずねた。
「いや、いつもは自分の部屋にいる」
「部屋はどこにあるの?」


僕は自分の部屋を指さして、あっちと言った。

カウンセラーの二人は僕の指がさしている方向を見て、義務的にうなずいた。

「部屋でなにをしているの?」
「読書」
「だれの本を読んでいるの?」
「村上春樹とか貴志祐介。最近は河合隼雄や林道義の本を読んでいる」

「村上春樹、好きなんだ。それじゃあノルウェイの森は読んだかな。わたしは面白かったな」


女性のカウンセラーは立てつづけに質問をしてくる。一方、男性のカウンセラーはだまったままだ。

「うん、読んだことある。村上春樹の小説はほとんど読んだと思う」
「カフカのなんとかも?」
「ああ、あれはまだ。いつか読みたいとは思っているけれど」

答えやすい質問を投げかけて僕にしゃべらせようとしているのだろう。
さすがだな、と僕は思った。

そのあと、「一週間にどれくらい外に出るのか」と訊かれた。
一回ぐらいかな、と僕はこたえた。
「図書館やテニスで?」
僕はだまって頷いた。

ボランティアをする気はないかとか、同じひきこもりの人と会う気はないかとか訊かれたが、僕は「その気はない」といった。

その他にも「自宅じゃなくて保健所に来られないのか」とか「負荷をかけなくちゃね」(どういう意味だ?)とか言われた。

僕は過去に病院に通おうとして無理だったことや、電車の乗るのが困難なこと、大学に通っていたときトイレで昼飯を食べたことなどを話した。

僕は少ししゃべりすぎたかもしれない。いつも人前では無理をしてしまう。いい格好をしてしまう。

それで、カウンセラーに「簡単に治りそうだ」という印象を与えたかもしれない。

カウンセリングの時間は三十分ていどだった。最初のカウンセリングにしてはいろいろと訊いてくるなあという印象だ。

女性のカウンセラーの顔は前半と後半とでは変化したようにみえた。後半の顔つきは険しかったように思う。

 

 

第二回目の訪問です 

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